2008年06月30日

QLO

癌の治療には、多くの場合、手術療法がとられます。その場合、以前は転移や再発を防ぐために、癌の部分をリンパ節も含めて広範囲にわたって取り除く方法が一般的でした。確かに、癌を完全に取り除き、治療することは大切です。しかし、生活の快適さを重視する考え方、「QOL:quality of life」が普及するようになり、手術後の生活の質を向上させるために、できるだけもとの機能を温存してQOLを維持しようとする手術法に変わってきつつあります。
すい臓がんの場合、実際、手術が可能なのは30パーセントといわれます。すい臓がんは症状が明白に現れないことから、気づいたときにはかなり進行しており、手術できない状態にいたっていることが少なくないのです。また、すい臓がんが進行すると、がん細胞が胆管や消化管を圧迫して閉塞性黄疸や消化管閉塞という症状を引き起こす場合があります。このような場合、すい臓がんそのものを治療するというよりも、QLOを維持するという目的で手術をすることがあります。胆管と小腸、胃と小腸、小腸と小腸などをつないでバイパスを作るのです。これにより、黄疸が改善し、食事が摂れるようになる、といった改善がみられるのです。

その他、がんが進行して激しい痛みを伴う場合には、痛みを取り除くことを主眼とした治療が行われます。痛みを伝える神経を切除する方法や、薬を注射して神経の緊張を解き、痛みを和らげたりといった方法です。

これらの治療は、すい臓がんそのものの治療とはいえませんが、患者さんの生活の質を維持し、改善するために重要なものです。
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2008年06月29日

抗がん剤と副作用

すい臓がんは、これといった症状がないままに進行してしまうことから早期発見が難しいだけでなく、進行も早く、また再発率も高いがんです。発見されたときには、すでに手術ができない状態であったり、他に転移していることがよくあります。そのような段階にいたってしまった場合、抗がん剤治療や放射線治療が行われます。
抗がん剤というのは、細胞が分裂する際のDNAの合成を妨げる働きをします。がん細胞は通常の細胞よりも頻繁に細胞分裂を繰り返すことから、そのがん細胞の分裂を妨げて細胞増殖を抑える働きをするのです。

しかし、抗がん剤が作用するのは、がん細胞だけではありません。通常の細胞にも影響を与え、副作用が発生します。特に、すい臓がんは抗がん剤の効果があまり期待できないがんの1つです。それでも、生存率を伸ばすことが不可能でないこともあり、副作用との兼ね合いを考えながら使用していくことになります。

抗がん剤の副作用には、吐き気、嘔吐、脱毛などがあります。また、免疫力が低下したり、貧血や出血が起こることもあります。骨髄では造血細胞から赤血球や白血球、血小板などが造られていますが、この造血細胞が破壊されてしまうからです。

新薬や治療法の開発によって副作用はずいぶんと少なくなってきていますし、抗がん剤の副作用を抑える薬の開発も進んでいます。医師から抗がん剤治療を進められた場合は、その効果や使用する事による利点だけでなく、副作用について十分な説明を受け、治療によって患者さんの苦痛が増加することのないようにしたいものです。
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2008年06月28日

慢性すい炎との識別

すい臓がんには特有の症状がないといわれる一方で、慢性すい炎の症状との類似性が指摘されています。したがって、すい臓がんの診断を下すには、それが慢性すい炎でないことを、また慢性すい炎の診断にはそれがすい臓がんでないことを明らかにすることが必須条件となります。

また、慢性すい炎の場合、発病後から禁酒を中心とする食生活をしっかりと自己管理できれば、予後はさほど悪くないといわれます。しかし、0~5パーセントと、わずかであるとはいえ、慢性すい炎からすい臓がんへと移行することもありますので、慢性すい炎の発症初期に適切な治療を受けることが重要です。

突然、上腹部、特にみぞおちに激痛が走る、急性すい炎と異なり、慢性すい炎の場合は、常に症状のあるものと、年に数回という頻度で急性すい炎のような発作を起こすものの、その間はこれといった症状はない、という二つのタイプがあります。慢性すい炎の症状は、病気の初期と、病気がかなり進行してしまった時期ではかなり異なります。病気の初期には、上腹部の激痛があるのがふつうで、急性すい炎に似ています。しかし病気の進行とともに痛みはかえって緩和します。代わって問題となるのは、消化吸収障害や抑うつ症状です。消化吸収障害は体重の減少をもたらします。

症状自体は、すい臓がんと非常によく似ていることから、症状だけではいずれとも識別できません。診断には超音波検査、]線CTなどの画像診断法が必要となります。特に、内視鏡的水管造影法とすい管造影法が有効とされます。
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2008年06月27日

痛み以外の症状

すい臓がん特有の症状といわれるものはありません。それどころか、まったく何の症状もなく、いつのまにか、がんが進行し、そのほかの器官にまで影響がおよんではじめてすい臓がんの存在に気づいた、という例もあるほどです。すい臓がんにこれといった症状が無い以上、因果関係は明確ではないとはいえ、すい臓がんの症状とよく似ているといわれる、すい炎、特に慢性すい炎の症状について理解しておき、そのような症状が現れたら、すい臓がんも疑ってみるという姿勢をとるのが有効ではないでしょうか。

すい炎の症状としては、痛みについてあげられることが多いですが、それ以外にも幾つかの症状があります。またそれらはすい臓がんの症状とも共通するものです。

急性すい炎では、ほとんどの場合、微熱を伴います。場合によっては高熱(40度近いことも)を発する場合もあります。また、吐き気、嘔吐などの消化器症状を伴うこともあります。

一方、慢性すい炎の場合は、病期が進んだ段階にいたると、消化吸収障害からくる体重減少や、糖尿病なども現れます。また、慢性すい炎の場合、反復的な激痛に襲われたり、持続的な鈍痛があるなど、痛みが長期化し、精神的に抑うつ症状をきたすこともあります。また、慢性すい炎によって二次的に糖尿病を発症している場合は、糖尿病に気づいていても慢性すい炎に気づいていないこともあります。糖尿病のための治療を適切に行い、自己管理もしているにもかかわらず血糖のコントロールがうまくいかない、症状が改善しない、という場合、ふつうの糖尿病とは違うかもしれない、と疑ってみる必要があるかもしれません。
タグ:すい臓がん
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2008年06月26日

すい臓がん血液検査

すい臓がんの検査には、1.血液検査、2.画像検査、3.病理学的検査が行われます。特に、血液検査においては、腫瘍マーカーと血中ホルモンを検査します。

血液検査
1.腫瘍マーカー・・・腫瘍マーカーというのは、癌の進行に伴い増加する生体因子のことをいいます。多くの腫瘍マーカーは、健康な人でも血液中に存在します。そのため、腫瘍マーカーが存在するからといって、それだけで癌の存在を診断できるわけではありません。ただし、癌の患者さんの腫瘍マーカーを定期的に検査することによって、再発の有無や手術で切除できなかった癌、あるいは画像診断では見えないようなごく小さな癌が存在することを、確実ではないものの、ある程度知るうえで有効な方法といえるでしょう。

2.血中ホルモン・・・すい内分泌腫瘍がある場合、以下のホルモンが高値を示します。

●インスリン(インスリノーマで高値)
●ガストリン(ガストリノーマで高値)
●グルカゴン(グルカゴノーマで高値)
●VIP(WDHA症候群で高値)

インスリンは、主として炭水化物の代謝を調整するするホルモンです。インスリンは血糖値を一定に保つうえで重要な働きをします。血糖値を低下させるために、糖尿病の治療にも用いられています。インスリノーマとはすい臓に生ずるインスリン分泌内分泌腫瘍です。80〜90%が単発の良性腺腫です。しかし、転移を伴う悪性腫瘍も5%程度存在することから注意すべきです。発生場所は、体尾部が多く、全体の70〜80%を占めます。

ガストリンは、主に胃の幽門前庭部に存在するG細胞から分泌されるホルモンです。胃主細胞からのペプシノゲン分泌促進、胃壁細胞からの胃酸分泌促進、胃壁細胞増殖、インスリン分泌促進、といった作用が認められています。

グルカゴンは、インシュリンとともに血糖値を一定に保つ作用をするホルモンです。インシュリンとは反対に血糖値が下がって糖を必要とするようになったときに肝細胞に作用してグリコーゲンの分解を促進する働きをします。

VIPは、消化管ホルモンのひとつで、「血管作動性腸管ポリペプチド」の略です。
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2008年06月25日

すい臓がん 画像検査

すい臓がんが疑われる場合、主に次の検査を行います:1.血液検査、2.画像検査、3.病理学的検査。なかでも画像検査は、急速に進化しつつあり、すい臓がんの早期発見に期待されています。

画像検査
●超音波検査
超音波検査は、エコー検査とも呼ばれ、超音波を対象(この場合、身体)に当ててその反響を映像化する検査です。身体の内部の状態を、身体を傷つけることなく調査することができることから、簡便で人体への影響がなく、検診にも用いられています。典型的なすい管癌の場合、境界が不明瞭で、不整形の低エコー域として描出されます。また、すい頭部の癌では主すい管や胆管の拡張も認められます。

CT(コンピュータ断層撮影)
放射線などを利用し、物体の内部画像を構成する技術のことを言います。すい臓に一致して、低濃度で不整形の腫瘍が描出されます。すい管癌の場合は造影CTでは造影されません。これは、血流に乏しいことが原因です。一方、造営CTで強く造営されるのは、すい内分泌腫瘍の場合で、これは血流に富むからです。

MRI(核磁気共鳴画像法)
核磁気共鳴現像を利用して体内の情報を画像化する方法です。
CTと同様の所見が得られます。MRCP画像は、胆管・すい管を描出することから、すい管の狭窄や途絶がみられ、診断の助けとなります。

ERCP
内視鏡で胆管とすい管を直接造影する方法で、すい管癌の場合はすい管の不規則な狭窄や途絶が見られます。

これらの画像検査の、血液検査と病気学的検査を併用し、総合的に癌が診断されることになります。
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すい炎の痛み

すい臓がんとすい炎の因果関係については、現在のところ明確ではありませんが、両者が近年、共に増加しつつあること、すい炎の症状、特に慢性すい炎の場合、その症状はすい臓がんの症状と似ているといわれること、およびすい臓がんの症状に特徴的なものがないということから、すい炎の症状について理解しておくことは有益であると思われます。

すい炎の特徴的な症状としては、やはりその痛みがあります。特に急性すい炎では、多くの場合、激烈な痛みを伴って発症します。上腹部のみぞおちあたりに痛みを感じることから、患者さんは、身体をえびのように曲げて膝を抱えて痛がります。
慢性すい炎の場合は、急性すい炎と同様の痛烈な痛みが数ヶ月間おきに繰り返される場合と、急性すい炎ほどではないものの、ジクジクとした鈍痛が絶えず続いていく場合があるなど、症状は多様です。

すい炎の痛みが起こる理由は、すい臓には血管が豊富にあり、自律神経、知覚神経が発達しているからです。どうしてすい臓にこのように血管が多いかというと、すい臓で消化酵素を作り出すためには多くの材料とエネルギーが必要なことから、その供給をしなければならないからです。そのため血液が大量に必要なのです。しかしそれは裏を返せば、すい臓に障害が起こると、血管が多いがゆえに出血も多く、痛みもひどくなってしまうのです。

慢性すい炎ですい石のある人は、すい臓がんになる確率が高くなるともいわれています。すい臓がんに限定せず、すい臓病全体として、またすい臓に関連する胆道、胆嚢の病気も視野に入れてみた場合、いずれも症状が似通っています。体調に異変を感じたら、早期に医師の診察を受け、正確な診断、治療を受けることが大切です。
タグ:すい炎
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2008年06月24日

すい臓がんの種類

すい癌は、すい臓がんとも呼ばれ、すい臓から発生した、悪性の腫瘍です。発見が困難であるうえに、進行が早く、予後もきわめて悪い癌として知られています。厚生労働省による人口動態調査によると、2004年の日本におけるすい臓がんの死亡数は22,260人とあります。そのうち、男性は11,933人、女性10,327人です。がんの死因別では、男女とも現時点では第5位ですが、戦後の食生活の欧米化と共に、年々増加傾向にあることから注意が呼びかけられています。

すい臓というのは、心臓や肺、肝臓などと比べ、一般の人たちにとってあまり馴染みがない内臓器官です。すい液を産生する腺房、すい液を運ぶすい管、および内分泌腺であるランゲルハンス島などから構成されています。すい癌という場合、その約90%は、すい管から発生する「すい管癌」です。そのほか、腺房から発生する癌「腺房細胞癌」や内分泌腺から発生する癌「すい内分泌腫瘍」もありますが、実際には比較的稀です。また、最も多いとされる「すい管癌」とは性質が異なり、したがって治療法も異なっています。

その他、腫瘍が癌へと進展したものもあります。たとえば、「すい管内乳頭粘液性腫瘍」と呼ばれる腫瘍があり、これは、すい管上皮から発生し、乳頭状に発育し粘液を産生する腫瘍です。「浸潤性すい管癌」という癌へ進行する可能性があることから、慎重に経過観察を行うことが必要とされます。


すい臓がんは、他の癌と同様、何がその原因となるのか、特定することは不可能ですが、以下の危険因子が挙げられています:

●生活・・・喫煙
●食生活・・・肉やコーヒーの過剰摂取
●他の疾患・・・肥満およびすい炎、胆石症、糖尿病
●家族因子
●年齢・・・50〜70歳代が高リスクとされます。
タグ:すい臓がん
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すい臓がんとすい炎との関係

すい炎とすい臓がんの因果関係についてははっきりとしていません。しかしすい炎の増加と共にすい臓がんも増加しています。すい臓がんに限らず、癌においては、食事、環境、習慣性、代謝性などさまざまな因子の相互作用の可能性を考える必要がありますが、慢性膵炎で、膀石のある人は、すい臓がんになる率がやや高い傾向があります。この理由については諸説ありますが、膀石がすい管をこすり、刺激を受けた部分に癌が出来やすくなるのではないか、といわれています。

関係の有無はともかく、すい臓がんとすい炎が同様に増加傾向にあることから、すい臓病全体としてどのような症状があるのかを考え、何か不調を感じたら、徹底的に検査を受けることが大切なようです。

すい臓病が疑われたら、血液や尿を採ってアミラーゼやリパーゼなどの消化個酵素の量を測定します。すい臓病の場合、消化酵素の量が上昇するからなのですが、慢性化したすい炎の場合、必ずしも上昇しないことがあるので、これだけでは診断を確定できません。
そのため次ぎの検査として、画像診断を行います。超音波、X線CTスキャン、すい管造影などです。すい臓の形態的な変化からすい臓病を診断する方法です。すい管造影というのは、内視鏡をみながら細い管をすい管のなかに入れて造影剤を注入し、すい管を撮影する方法です。慢性膵炎やすい臓がんの鑑別に威力を発揮しますが、この方法は手間がかかることから外来では無理です。入院検査ということになります。
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2008年06月23日

がん早期発見と検診

早期発見が叫ばれる癌ですが、ここでいう早期とは、この時期ならば治る可能性がある時期、という意味です。そのためそれぞれの癌によって、早期発見のめやすは違いがあります。また、癌の種類によって早期発見の容易さにもかなりの違いがあります。
癌は全部で50ほどあります。そのうち現在、8割ほどの癌は、診断技術も進み、早期診断すればたいてい発見できるようになりました。皮膚がん、乳がん、子宮がん、大腸がん、胃がん、前立腺がん、および膀胱がんなどがこれらの癌に属します。これらは比較的からだの表面に近い部位にできる癌で、患者自身に体調の変化を感じる症状が早期に出る癌です。そのため早めに精密検査を受けることになるため、発見も早期となる可能性が高いのです。

一方、体の奥にあるすい臓や肺の癌となると症状も出にくいので気づくのが遅くなりがちであるばかりでなく、精密検査をしても発見しにくい場合が多いのです。

乳がんは手で触れることができますから、自分で普段から気をつけることができます。しかし早期に発見さえできればかなりの生存が望める胃がんや子宮がんでさえ、初期どころか、かなり進行した癌でもほとんど症状がないこともあります。症状が出たときには手遅れです。そのため、症状のあるなしにかかわらず、40歳を過ぎたら癌年齢と考えてください。1年に2回、少なくとも1回、毎年、誕生日なら誕生日、と自分で決め、かならず検診を受けるようにしてください。
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